キングオブコント2016 感想
毎年恒例のコントの大会が今年も開催。去年から準決勝敗退した芸人による匿名審査が廃止され、ダウンタウン松本人志、さまぁ〜ず、バナナマンによる審査形式に変更。そのためか大会の雰囲気がガラッと変わり、従来の形式が好きだったお笑いフリークからは賛否が巻き起こった。今年も基本的な番組の構造は変わらなかったが、全体としては去年よりもウケていて一安心。ただ一巡目は去年のコロチキ、ロッチを踏襲したような天丼ネタが続出し、その結果審査の決め手として順番に泣かされるコンビが多かったように思う。
- しずる
決勝進出回数は歴代最多タイの4回。ここ3年は決勝から遠ざかっており、今年の27時間テレビでも新ネタではなく過去のKOC決勝ネタを披露したりと心配に思っていたが、杞憂だった。準決勝の評判を聞いても間違いなく優勝候補だと思ったが、もっと順番が後であれば最後の5組に残れたであろうことを考えると勿体無い。ネタ自体は得意のハードボイルドな世界観に全く中身のないバカバカしさが加わり、非常にしずるらしいネタだった。
3回目の決勝進出。2011年「西岡中学校」のネタで鮮烈な全国デビューを飾り、それ以降も準決勝の常連だが2014年決勝で大敗し事実上の最下位に。普段はブラックなネタが多いが、今回は野球拳の替え歌に乗せた変化球ネタで勝負。溜口の歌唱力が素晴らしかったが個人的にはそっちに気を取られて肝心のネタの内容が全く頭に入って来なかった。会場がかなりノッていて本人達にとってもホームな状況なら爆発的にウケるんだろうなぁと思う。あと溜口の動きが日村っぽかった。
- かもめんたる (ファイナルステージ進出)
3回目の決勝進出、2013年王者。ボケのう大の冷笑的で切れ味鋭いワードセンスが持ち味のコンビ。コント師としての能力はこの中でも頭一つ二つ抜けている印象。今回はセリフよりも設定に重きを置いたネタで、特に1本目の「念」は今大会で最も発想が凄かったネタ。ただ設定の面白さを展開が超えてこなかった感。しかしこういう見る人を選ぶタイプのコント師のネタが2本も見れるというのがこの大会の良さだと思う。
- かまいたち (ファイナルステージ進出)
かつてはジャルジャル、モンスターエンジン、天竺鼠らと共に大阪吉本の若手有望株として注目され、東京のネタ番組にも出ていたが、全国的な知名度では他3組から遅れを取っている印象だった。しかしネタの実力はあり、先日歌ネタ王で優勝したばかり。今回のネタも2本とも面白く、優勝してもおかしくなかった。あの首が落ちるマジックは欽ちゃんの仮装大賞で初めて見て衝撃を受けたのだが、このネタの中では物凄い雑に扱われてたのがツボ。2本目のホームルームネタはこのコンビの代表作なので見れて良かった。あと関西の芸人だからか間が凄く上手いと思った。
- ななまがり
2年前の準決勝の模様をDVDで観て一番心掴まれたコンビ。今回のネタも個人的に一番笑った。日村も審査コメントで言ってたけど、何でこのネタを思いついてこの大会でやろうと思ったのか全く意味不明。点数こそ低かったが、異様な空気を持つコンビとして視聴者の記憶には刻まれたと思う。
- ジャングルポケット (準優勝)
2年連続決勝進出。天丼ネタが続いた中で彼らのオーソドックスなドタバタコントは非常に光っていた。今回優勝したライスと同点1位で折り返し、最後まで接戦だった。去年は会話劇中心のスマートなネタをやろうとしている感じがあったが、今回のおバカコントの方が彼らのキャラが生きていると思う。去年のロッチのように2本目で失速しなくて良かったw
- だーりんず
近年、バイきんぐやハリウッドザコシショウなどのチャンピオンを輩出し注目を集めるSMA所属。ファイナリスト中最年長。今回下ネタを扱うコントが多かったが、このネタはゴールデンではギリギリアウトだったと思う。演技力や話の運びは安定していただけに、題材がもっとフラットであれば上位も狙えたのではないかと思う。
- タイムマシーン3号 (ファイナルステージ進出)
去年のM-1グランプリでファイナリストになったことも記憶に新しく、漫才師のイメージが強い。ボケの関が器用で安定した笑いを生み出すことができるが、内容が浅いと見られ同業者からの評判は悪いらしい。今回5人の審査員がどう評価を下すのかある意味一番気になるコンビだったが、結果は大健闘。ただここが優勝してしまうと他のコント一筋の芸人達の立場が無いので、4位で落ち着いてくれて正直ホッとしている。
2回目の決勝進出。ワンシチュエーションで引っ張るネタを得意とするが、今回は他にもそういったネタをするコンビがたくさんいたため持ち味が発揮されなかった。宮澤は明らかな変人キャラよりも教師役の方が似合うと思う。
- ライス (優勝)
しずると同期でネタの傾向も似ているが、テレビ露出はかなり少なく、存在がネタバレしていなかったことが少なからず今回の優勝に影響したと思う。2本目は「ウェイターに水をこぼされてお漏らししたみたいになっちゃう客」という設定で行くのかと思いきや、それを逆手に取ったネタで華麗に予想を裏切られた。おめでとう。
1本目は似たテイストのネタが続いたので若干飽きが来たが、2本目は例年のように失速するコンビもいなく、尻すぼみにならなかったのが本当に良かった。twitterでは観客の反応に対する苦言も散見されたが、個人的にはそこは目をつぶってネタを楽しみたいと思う派。まあ準決勝敗退芸人をスタジオに入れるのが一番の改善方なんだとは思う。
2016夏ドラマ 期待作品
7月から始まるドラマで視聴候補に入れている作品一覧。
遺産相続弁護士 柿崎真一(日テレ・木曜23時59分 7/7スタート)
タイトル通り、主人公の弁護士が遺産相続のトラブルを解決していく。三上博史と森川葵を見届けるために観る。
神の舌を持つ男(TBS・金曜22時 7/8〜)
「TRICK」「SPEC」の堤幸彦監督作品。「絶対舌感」なる能力を持つ主人公がその能力を駆使し各地の温泉で起こる事件の謎を解決していく。構想に20年を費やしたとのことで、あらすじを見るだけでもワクワクする。
家売るオンナ(日テレ・水曜22時 7/13〜)
不動産業界を舞台にしたスーパーウーマンもの。中園ミホが書きそうな内容だが、脚本は「セカンドバージン」「コントレール」の大石静。
はじめまして、愛しています。(テレ朝・木曜21時 7/14〜)
「特別養子縁組制度」というテーマを「家政婦のミタ」の遊川和彦が描く。遊川作品は良くも悪くも惹きつける力があり途中までは楽しめるが、最後にグダグダにならないことを祈る。
侠飯~おとこめし~(テレ東・金曜24時12分 7/15〜)
ひょんなことからヤクザの組長を匿う羽目になった大学生が組長の作る料理でもてなされ、人生観を学んでいく。「孤独のグルメ」の流れを汲む飯テロドラマ。
仰げば尊し (TBS・日曜21時 7/17〜)
高校の吹奏楽部顧問となった元サックス奏者の主人公と不良生徒達との交流を描くヒューマンドラマ。実話が元となっており、「ROOKIES」のスタッフが集結。1年前の「表参道高校合唱部!」のような夏らしい爽やかな作品になることを期待。
そして、誰もいなくなった(日テレ・日曜23時30分 7/17〜 ※初回のみ22時スタート)
順風満帆な人生を送っていた主人公が自分と同姓同名の男が逮捕されたことをきっかけにどん底に落ちていく。この枠は「デスノート」「エンジェル・ハート」など漫画の実写化でやっていくのかと思ったが、前クールの「ゆとりですがなにか」やこの作品のようなオリジナル作品をどんどんやって欲しい。ちなみにアガサ・クリスティーの同名小説とは無関係。
営業部長 吉良奈津子(フジ・木曜22時 7/21〜)
大手広告代理店に勤める主人公が結婚・出産を経て職場復帰するが、そこで様々な壁にぶち当たる。主演の松嶋菜々子は3年ぶりの連ドラ主演。脚本の井上由美子はこの枠で「昼顔」をヒットさせた経歴もあり、枠との相性は良いはず。最近のフジにありがちな「ひと昔前」の感じにならなければいいが。
オリジナル作品の多さが目立つのはいい傾向かと。個人的には「神の舌を持つ男」が面白ければ十分です。
ブラバンキッズ・ラプソディー―野庭高校吹奏楽部と中澤忠雄の挑戦
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2016春ドラマ総括
いつになく良作が多かった(気がする)春ドラマ。そんな中でも出色だったのは重版出来!。漫画の編集部という地味目な題材と裏の僕のヤバイ妻との食い合いもあって視聴率はそこまで伸びなかったものの、話の作りの丁寧さ、キャラクターの立ち方、原作の生かし方は今季の中でも飛び抜けていたように思う。TBSラジオ「たまむすび」の中で映画評論家の町山智浩も絶賛してたのはそのキャスティング。豪快なタイガースファンの編集長を演じた松重豊、優しさの中に闘志を燃やすベテラン漫画家を演じた小日向文世、主人公の先輩編集者を持ち前の色気でもって演じたオダギリジョー、イヤミで現実主義な編集者を演じた安田顕、屈折した天才新人漫画家を演じた永山絢斗など、このドラマだけで助演男優賞を独占しそうな勢いだった。主人公は当初能年玲奈が演じる予定だったそうで、確かにその方が話題性はあったと思うが、これだけの個性的なキャラクター達を引き立てるという意味では結果的に黒木華が適任だった。全体的にホロッとする話が多かったが、ムロツヨシ演ずる漫画家アシスタントがメインの7話は特に泣けた。
黒柳徹子の自伝的エッセイが原作のトットてれびは満島ひかりの好演に尽きる。レトロな髪型や衣装を纏う姿はまさにお人形さんのそれだし、徹子特有の早口でピントのズレた話し方もマスター。演出面も華やかで「テレビの良い時代」を感じることができた。
火の粉はフジテレビの昼ドラ枠撤廃後の代わりの枠として深夜11時台からスタート。ノーマークだったがこれがまた面白かった。狂気の主人公を演じたユースケ・サンタマリアは言うまでもなく、それに振り回される優香、伊武雅刀、朝加真由美、大倉孝二などもそれぞれ好演。マジなのかネタなのか解りかねる迷シーンのオンパレードで回を増すごとに惹きつけられた。
ゆとりですがなにかはゆとり第一世代(自分と同い年)を主人公にその下の世代や上の世代の複雑な関係性を描いた意欲作。初回こそ宮藤官九郎らしからぬシリアス展開で肩透かしを食らったが、話が進むにつれクドカン節が炸裂し、役者の演技もどんどんヒートアップ。もともと演技力に定評のあった柳楽優弥や安藤サクラは勿論の事、強烈なゆとりモンスターを演じた太賀は今後要注目の役者。また、童貞小学校教師を演じた松坂桃李もオタク風の演技が板についており、イケメン俳優の枠を取っ払ったように見えた。
初回から最終回までずっと高水準の面白さを維持していた重版出来!が個人的1位だが、その他の作品も他クールなら1位でもおかしくないほどのクオリティだった。以下個人的作品・俳優賞。助演男優賞は候補が多すぎて迷ったが、同時期の真田丸での好演も考慮に入れて小日向文世で。
作品賞 重版出来!
主演男優賞 ユースケ・サンタマリア(火の粉)
2016春ドラマ 期待作品
火の粉(フジ・土曜23時40分 4/2スタート)一家殺害容疑で無罪を勝ち取った主人公が引っ越し先の近所に住む家族に接近する。ユースケ・サンタマリアの危険人物ぶりに注目。
出演: ユースケ・サンタマリア、優香、朝加真由美、大倉孝二、木南晴夏、佐藤隆太、伊武雅刀
とと姉ちゃん(NHK・月曜〜土曜8時 4/4〜)
出演: 高畑充希、西島秀俊、木村多江、相楽樹、杉咲花、向井理、片岡鶴太郎、大地真央
ラヴソング(フジ・月曜21時 4/11〜 )
出演: 福山雅治、藤原さくら、菅田将暉、夏帆、田中哲司、宇崎竜童、水野美紀
重版出来!(TBS・火曜22時 4/12〜)
出演: 黒木華、オダギリジョー、坂口健太郎、荒川良々、安田顕、松重豊
世界一難しい恋(日テレ・水曜22時 4/13〜)
出演: 大野智、波瑠、小池栄子、北村一輝
早子先生、結婚するって本当ですか?(フジ・木曜22時 4/14〜)
出演: 松下奈緒、貫地谷しほり、佐藤仁美、八嶋智人、尾藤イサオ、松坂慶子
私 結婚できないんじゃなくて、しないんです(TBS・金曜22時 4/15〜)
出演: 中谷美紀、藤木直人、瀬戸康史、大政絢、徳井義実、夏木マリ
お迎えデス。(日テレ・土曜21時 4/16〜)
出演: 福士蒼汰、土屋太鳳、鈴木亮平
99.9 刑事専門弁護士(TBS・日曜21時 4/17〜)
出演: 松本潤、香川照之、榮倉奈々、青木崇高、藤本隆宏、奥田瑛二、岸部一徳
OUR HOUSE (フジ・日曜21時 4/17〜)
出演: 芦田愛菜、シャーロット・ケイト・フォックス、山本耕史、塚本高史、松下由樹、橋爪功
ゆとりですがなにか(日テレ・日曜22時30分 4/17〜)
出演: 岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、太賀、吉田鋼太郎
僕のヤバイ妻(フジ・火曜22時 4/19〜)
出演: 伊藤英明、木村佳乃、相武紗季、佐藤隆太、宮迫博之
グッドパートナー 無敵の弁護士(テレ朝・木曜21時 4/21〜)
出演: 竹野内豊、松雪泰子、杉本哲太、國村隼
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- 作者: 黒柳徹子
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2016冬ドラマ総括
R-1ぐらんぷり 2016
現在ゴールデンで全国放送しているお笑い賞レースの中ではM-1グランプリに次いで歴史が長いこの大会。優勝者がブレイクできなかったりルールがコロコロ変わるため、小粒な大会という印象が拭えなかったが、昨年から始まった「敗者復活枠3人」というルールが功を奏したのか、盛り上がりのある番組になってきたように思う。
Aブロック
ウザい音楽プロデューサーがドラえもんの歌に指導を入れていく。ただの形態模写に終わらず音ネタも取り入れてくるあたり進化を感じさせる。本人も煽りVで言っていたが賞レースでの優勝経験が無い。かつてのM-1における麒麟のように、器用過ぎるところが仇になっているのかもしれない。
小島よしお (勝ち上がり)
ビジーフォーがよくやってた3人のヤツを携えてショートコント+そんなの関係ねぇ。ベッキー騒動に揺れるサンミュージック所属とあって「俺が事務所を背負って立つ」という気概をヒシヒシと感じた。先日の水曜日のダウンタウンでも「この3人のヤツ誰がやっても面白い説」という企画が放送されたが、プロデューサー曰く偶然カブってしまったとのこと。
あと、小島くんのネタはもちろんパクりでもなんでもなく、逆にこちらが知らずに変なタイミングでOAしちゃって申し訳なかったです。。
— 藤井健太郎 (@kentaro_fujii) 2016年3月6日
シャンプーハット こいで
食物連鎖。今大会一番狂っていたネタ。イラストの上手さに対して内容が意味不明過ぎる。
サンシャイン池崎 (敗者復活枠)
心理テスト。サンシャイン池崎というキャラクターが完全に固まっており、もはや内容は何でもいいという様相。
Bブロック
Cブロック
2016年 冬ドラマ途中経過
時代劇がおもしろい
重い・暗いシリアス路線
アットホームなコメディー
対照的に安心して観られるコメディタッチの作品も多数。
「ダメな私に恋してください」は「あさが来た」でブレイク中のディーン・フジオカを愛でるドラマかと思いきや、深キョンの可愛さを再確認させられる。「家族ノカタチ」は結婚不適合者の主人公と奔放な父親の共同生活から始まるホームコメディ。ここ何年かで大作枠になりつつある日曜劇場としては薄味。「お義父さんと呼ばせて」はオドオドした遠藤憲一を堪能できるが、同じ方向性の「民王」に見られたようなギャグのキレやブラックさはあまり無く、安心はできるが少々物足りない。
大河は別枠として、脚本は勿論のこと映像、音楽、衣装にも拘りが見られる「ちかえもん」「逃げる女」「わたしを離さないで」が個人的トップ3。「ナオミとカナコ」は高畑淳子を楽しみに視聴。