何でもアリの

テレビ番組の感想を綴るブログ

偽装の夫婦vs無痛

水曜夜10時はリアルタイムではTBS「水曜日のダウンタウン」を観ているため、裏の日テレvsフジテレビのドラマ対決は録画して観ることになる。4月期は日テレ「Dr.倫太郎」、9月期は最初日テレ「花咲舞が黙ってない」とフジ「リスクの神様」の両方をチェックしていたが、結局どちらも観なくなってしまった。そして今期、日テレ「偽装の夫婦」のみチェックする予定だったが、フジ「無痛~診える眼~」も3話から観始めた。この2局のドラマ枠はなぜか毎回テーマが被ってしまう傾向にあったが、今期の2作は全くテーマが異なるため、それぞれ違う楽しみ方ができている。

偽装の夫婦は別記事でも言及したが、人間嫌いの主人公・ヒロ(天海祐希)がゲイの元カレ(沢村一樹)と再会し偽装結婚したことをきっかけに人としての温かさを取り戻していくという筋書き。沢村演ずる旦那を始め、息子を結婚させるために余命半年と嘘をつく旦那の母親(富司純子)、いとこであるヒロに想いを寄せるマジシャン(佐藤二朗)、ヒロに猛烈なコンプレックスを抱くいとこ(坂井真紀)、異常に鋭い観察眼を持つヒロの叔母さん(キムラ緑子)、夫にDVを受けて以来レズビアンになったシングルマザー(内田有紀)、正義感が強くヒロを目標にする宅配の兄ちゃん(工藤阿須加)など、超個性的な登場人物を演者がそれぞれ好演しており、各人物のやり取りだけでも楽しめる。大きな事件は起こらないが、周りの人物に振り回されながらも心を開いていくヒロを見守るドラマとなっている。逆を言えばこの濃いキャラクター達を好きになれなければ楽しめないドラマとも言える。

一方の無痛は半年前の一家殺人事件の犯人捜しという大筋があり、そこに人の病状が見るだけでわかる能力を持った医者・為頼(西島秀俊)や犯因症(=殺人を犯す兆候が見られる症状)に侵された刑事(伊藤淳史)、心療カウンセラーの菜見子(石橋杏奈)が関わっていく。これまで菜見子が受け持つ患者・サトミ(浜辺美波)やストーカー化した菜見子の元カレ・佐田(加藤虎ノ介)が犯人ではないかというミスリードがされてきたが、白神院長(伊藤英明)とその秘書(宮本真希)、無痛症のイバラ(中村蒼)も怪しくなってきており、最後まで見ないと犯人がわからないつくりになっている。話の筋は面白いのだが、負傷した菜見子のいる病室に佐田が簡単に出入りできたり、為頼が佐田と接触したにも関わらず捕まえなかったり、ストーリーを進めるためのご都合主義な展開も見られ、そこは勿体無く感じる。この時間帯にしてはグロテスクな描写も多く、観る人を限定してしまうきらいも。
 
キャラクターや会話劇を楽しみたいなら「偽装の夫婦」、どんでんがえしのストーリーを楽しみたいなら「無痛」に軍配が上がりそうで、内容的にはここ数年で一番良い勝負なのではないかと思う。まあフジの方は次クールで枠自体が終了なんですけどね。