2017年ドラマ 年間マイベスト
今年全話視聴したドラマで印象に残った10作品を「毎週楽しみに観たか」「ドラマとしてのクオリティ」「インパクト」の3点を重視してランク付け。
第10位 重要参考人探偵
制作局: テレビ朝日
脚本: 黒岩勉
金曜ナイトドラマらしいチープな事件解決物だが、主人公の「何故か毎回死体を発見してしまう体質」という設定だったり、推理を披露する際に「頼む、合っててくれ」と願う様子だったり、この手のドラマを皮肉った部分が痛快だった。推理する時の「時間稼ぎタイム」は毎回爆笑。一番良かったのはメイン3人のバランスで、玉森裕太の不運ぶり、小山慶一郎の一見頭脳派に見えてピントズレてるぶり、古川雄輝の問答無用のフェアリーぶりがそれぞれニンに合っていた。あと滝藤賢一のオネエ社長も楽しみの一つだった。
第9位 コウノドリ
制作局: TBS脚本: 坪田 文、矢島弘一、吉田康弘
第7位 僕たちがやりました
脚本: 徳永友一
キャスト: 窪田正孝、永野芽郁、新田真剣佑、間宮祥太朗、葉山奨之、今野浩喜、川栄李奈、水川あさみ、三浦翔平、板尾創路、古田新太
色んな意味でインパクトが強かった作品。かなり出落ち的な導入だったため、初回がピークになるのでは?と懸念していたが、個性的なキャラクターと先の読めない展開により最後まで飽きずに楽しめた。「え?これ9時台だよね?」と確認したくなるようなエロや暴力シーンの数々を擁するが、これを敢えて深夜枠ではなくゴールデンタイムで放送した意義はあったと思う。決して後味の良くない結末含め、現在のドラマ界に一石を投じる作品となったと思う。今野はドラマに出始めて久しいが、今作で本格的に俳優になったと感じる。しかしトビオと菜摘先生(の中の人)が付き合うとは思わなかったよね。
第6位 明日の約束
昨年最も飛躍したのがTBS火曜ドラマ枠だとすれば、今年最も注目度を上げたのはこの関テレ枠では無いかと思う。一見地味な作品だが、いじめ問題だけではなく毒親やマスコミの報道姿勢にも鋭く斬り込んだ意欲作。久々のドラマ主演となった井上真央の演技力を再認識出来たし、生徒役の俳優も皆好演。主人公の母親を演じた手塚理美も強烈な存在感だった。 終始落ち着いたトーンで、軸のブレなさも好印象。
第5位 わにとかげぎす
制作局: TBS
脚本: 高橋泉
脚本、演出共に高水準だったが、キャスティングに言及すると、あまり役者のイメージが無い有田の演技も自然だったし、コムアイ(水曜日のカンパネラ)の頭おかしい女もハマり役。中でも本田翼の使い方は各ドラマスタッフ参考にすべき。正直エロに関しては「僕たちがやりました」に軍配が上がるが、バイオレンス描写はなかなかテレビではお目にかかれない血生臭さで鮮烈だった。しかし今年は「バイプレイヤーズ」といい「下北沢ダイハード」といいこれといい、様子のおかしい光石研をよく見た年だった。
第4位 過保護のカホコ
遊川和彦お得意の家族モノかと思いきや、竹内涼真の存在感により秀逸なラブコメ作品に。ただの爽やかイケメンではなく、遊川フィルターを通したことによって皮肉屋で少々毒のあるキャラクターに仕上がっていたのが丁度良かった。自分も例に漏れず麦野くんにはキュンキュンさせられっぱなしで、たまたま近くで上映されていた「帝一の國」を観に行くところまでいった。竹内涼真の魅力を引き出すという意味では、相手役が高畑充希という点も含め、この作品で大正解を出してしまった感があり、この先これを超える作品が出てくるかちょっと心配でもある。
第3位 あなたのことはそれほど
制作局: TBS
原作: いくえみ綾「あなたのことはそれほど」
脚本: 吉澤智子
初回視聴時点からの上げ幅という意味では今年一番。正直序盤は安っぽい不倫ドラマになってしまうのかと危惧したが、不倫がバレてからは毎週迷シーンの連続で、Twitter実況との相性も抜群。同時期に同じ不倫ドラマの「昼顔」が再放送されていたが、昼顔のように濃厚なラブシーンやドラマティックな劇伴で盛り上げる訳でなく、淡々と主人公が堕ちていく様を描いていくのが不気味で良かった。登場人物が皆違ったタイプの狂い方をしていて、後半になってくると一番クズなはずの有島(鈴木伸之)が一番まともに見えてくるというねじれ現象が発生。この役を引き受けた波瑠と東出昌大に敬礼。
第2位 刑事ゆがみ
制作局: フジテレビ
原作: 井浦秀夫「刑事ゆがみ」
浅野忠信と神木隆之介のバディ物となれば「絶対に面白くなるはず」と思うのが普通だが、放送枠がここ数年ヒット作の無いフジテレビ木曜ドラマ枠とあっては、期待したくても「どうせしょっぱい出来になるんだろうな...」と思っていた時期が私にもありました。蓋を開けてみれば、今までのこの枠の低調ぶりは何だったんだ?と思うほどの非の打ち所のない名作に仕上がっていて、嬉しい誤算。ゲストが毎回豪華だったのも、視聴率狙いというよりは浅野忠信のもとに良い役者が自然に集まってきたという感覚があった(斎藤工とリリー・フランキーの無駄遣いには笑った)。シリーズ化するべきだと思うが、やはり視聴率の壁が。しかしフジテレビの復活を予感させる作品だったことをここに記したい。
第1位 カルテット
制作局: TBS
脚本: 坂元裕二
脚本家とキャストが発表された時点でヤバいとは思ったが、その通りヤバかった作品(語彙力)。坂元裕二による言葉の力が圧倒的過ぎて、圧倒的素人の自分はとにかく毎回「すげえ...」と言うほか無かった。特に凄かったのは第5話での松たか子、満島ひかり、吉岡里帆による三つ巴の会話劇。ドラマ史に残る名シーンに数えても良いのではと思えるくらいの緊迫感があった。とにかく視聴者を「ながら見」させない作品。坂元裕二がいる限り、テレビドラマはまだまだ死なないと確信した。
例年通り漫画の実写化が多かったが、同時にオリジナル脚本の大事さも痛感した(ランキングの中だと「カルテット」「過保護のカホコ」「明日の約束」がオリジナル脚本)。そして「刑事ゆがみ」によりフジテレビ復活の兆しが少しでも見えたのは昨年からの大きな進歩。来年1月期のドラマも既に面白そうなのが大量に出揃っており、今から楽しみ。