何でもアリの

テレビ番組の感想を綴るブログ

どこよりもリアルな医療ドラマ「コウノドリ」

ドラマにおける定番設定と言えば刑事物と医療物だが、10月スタートのドラマのラインナップを見る限り、その傾向は未だ変わっていない様に思える。そんな中で異彩を放っているのが綾野剛主演「コウノドリ」。このドラマも産婦人科を舞台にしているため医療物に括られるが、「ドクターX」の様なスーパードクターも出てこなければ「無痛~診える眼~」「破裂」(いずれも今期スタート)の様なサスペンス要素も無い、最近では珍しいくらいリアリティを追求した医療ドラマである。主人公が産婦人科医とピアニスト2つの顔を持っているという設定は一応あるものの、あくまで妊婦と主産現場の話がメインという体裁をとっている。最も凄いのはドラマ内に出てくる新生児が皆本物で、それが1人や2人ではないということ。それだけでもこのドラマの本気が伝わってくる。第3話ではマタ旅(妊娠した状態で旅行に出ること)や妊婦の喫煙問題を取り上げた他、四宮(星野源)が患者に厳しくするようになった理由が明らかになったり、母親が妊娠中に風疹に罹ったことで視覚障害を抱えて産まれた少女のエピソードなど、本当にこれを全部1時間でやったのかというくらい盛りだくさんな内容だった。しかし決して散漫になること無く全ての問題をスムーズに繋げてみせたのには感心。4月期のドラマ「Dr.倫太郎」は精神科を舞台にした作品で、こちらも1話につき複数のエピソードを同時進行していたが、精神科に関する情報よりも主人公と他の医者や患者との色恋沙汰の方がメインになっていたきらいがあり、「医療物かと思ったら恋愛物だったでござる」の様相を呈していた。同時期に放送していた「医師たちの恋愛事情」の方がハナから医者の話をする気が無い分親切だったかもしれない。キャストで言えば患者としてゲスト出演する俳優が清水富美加(まれ)、山田真歩、山田望叶花子とアン)、和田正人ごちそうさん)など朝ドラ出演者率が高いのが気になる。こういった傾向は他局のドラマでも度々見られるが、TBSはこういった俳優たちの使い方の上手さにおいて一歩抜きん出ていると思う。