何でもアリの

テレビ番組の感想を綴るブログ

M-1グランプリ2018 感想

去年よりイマイチウケない組が多かったけど、全組漏れなくウケるよりこっちの方がM-1ぽいなーと思ったりw審査員のコメントに心のいいねボタンを押しまくりだった。

 

  • 見取り図

とにかく2人共声が良い。ネタは強いボケが少ない上に伏線の出し方も「これ後で回収しますよ〜」感が見え見えなので構成が上手いとも言えず。ツッコミの盛山が自分で言う程デブじゃないのも気になった。

 

設定はサイコで凄く面白くなりそうだったのにあまり広がらず終わってしまった。ラストイヤーで武智は悔しいだろうけど忙しいのが嫌な田中は喜んでいると思う。

 

コント師でもあるのに漫才は正統派しゃべくりなのが凄い。最初は山内がおかしいこと言ってるのに激論の末濱家の発言もおかしくなっていく感じがたまらない。

 

8年前に初めて決勝に出た時は漫才全否定みたいなネタ(本人達はそういうつもりじゃ無かったみたいだけど)でヒール的な立ち位置だったのが、ラストイヤーの今年教室で友達同士でじゃれ合ってるような良い意味でジャルジャルらしい漫才に辿り着いたのが感慨深い。志らく師匠が99点でえみちゃんが88点という評価の分かれ方もジャルジャルらしいw

 

上手いんだけど「ハゲ方が面白くない」とか「寄席で見たい」とか、テレビ向きじゃないと宣告されてる感じで気の毒。容姿をネタにして笑いを取るのは今時かなりハードルが高いことだと思う。

 

  • ゆにばーす

ギャロップにえみちゃんが「自虐は笑えない」と指摘した直後に初っ端「クソヤバブスカップル」はキツイ。去年めちゃめちゃ面白かっただけに勿体ない。あと「コテコテの漫才を披露する」というボケがあったけど、正直あの部分が本編より面白くてはらさんの器用さに驚いた。巨人師匠がコメントした通りあの喋り方の漫才を見てみたい。

 

  • ミキ

ここも思いっきり容姿弄りなんだけど、兄弟という関係性と2人の可愛げでカバーされてる感じ。ネタ自体はありがちなんだけど、逆に言えばそれであれだけ爆笑に繋げる技術が凄い。

 

  • トム・ブラウン

お笑いクラスタの間では3回戦の時点で一番話題になっていたコンビ。ネタの内容は「何やってんだw」としか言いようが無いんだけど、ツボに入るとずっと笑っちゃうヤツ。花沢さんのくだりが好き。

布川「2本目は加藤一二三さんが出てくるっていう」

今田「何ですかその魅力的なタイトルは!?」www

 

ツッコミの粗品はピンでフリップ芸やってた頃から見てて、「将来期待の若手なんだろうなぁ」と思ってたけど、まさかこんなに早くチャンピオンになるとは。ツッコミがどれも外さないし、せいやの表現力が凄いので最初から最後までずっと笑いが途切れない。

 

  • 和牛

1本目は最初の段階では直前の霜降り明星の割を食っちゃったかなと思ったけど、最後の展開で一気に持ってかれた。よっぽど自信が無いとああいう構成にはできないと思う。2本目も水田の毒と川西の演技力が生かされていて良いネタだったけど上手過ぎると判断されたかな。でも3年連続準優勝は凄いし、喋りの技術と独創性の両方を持ち合わせているのはそれだけで価値アリ。

 

「半分、青い。」総括

朝ドラ「半分、青い。」が先日放送終了。放送前はタイトルに対して「君の名は。かよ(苦笑)」と言われたり、脚本家の北川悦吏子氏がTwitterでネタ募集をする様子が物議を醸したり、次期朝ドラ「まんぷく」「なつぞら」のキャストが発表され影が薄くなったり、自分の知る限り「半分、青い。楽しみ〜〜!」と言ってる人は見かけなかった気がする。

 

ちなみに自分は最近の朝ドラは「この設定、このキャストで行けば安全!」みたいな視聴者に対する忖度を感じてしまってしばらく離れていた。でも「半分、青い。」は久々の現代劇だし、キャストも好みだし、北川さんの作品も「素顔のままで」「愛していると言ってくれ」「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」「空から降る一億の星」と観たことある物ばかりでTwitterで色々言われるほど悪い印象は無かったのでとりあえず観てみることにした。と言っても国営放送の顔の朝ドラ枠と90年代民放ドラマど真ん中の北川作品という組み合わせは水と油では?という懸念もあり、とにかく観る前は全くの未知数だった。そして全話見終わった感想は「とんでもないところまで連れて来られたな」。

 

放送前のインタビューで北川さんは以下のように語っている。

北川悦吏子:朝ドラ“ヒットの法則”「全部、外した」 「半分、青い。」は「集大成」 - MANTANWEB(まんたんウェブ)朝ドラには過去作の傾向から、いくつかのヒットの法則が存在するといわれている。最初に今作の企画が立ち上がった段階で、北川さんがNHK側から聞かされていたのは「実在する女性をモチーフに描くこと」や「時代と戦うこと」などで、「これがあれば大丈夫というのを、それを全部外して今、書いているので、そういう意味でもチャレンジング。だからこそ面白いものが生まれるんじゃないかなって思っています」と逆説的な自信を見せる。

 

確かにこのドラマは朝ドラでは定番と言われることを悉く覆して来た。まずタイトルが「半分、青い。」句読点である。そして初回ではヒロインが胎児(CG)で登場。大抵一週間で終わる子供時代が二週間。上京後に天職かと思われた漫画家を物語前半で引退。ヒロインの相手役が別の女性と結婚。それに伴ってヒロインも別の男性と結婚。嫁いびりが無い。しかし離婚。地元に帰るがすぐに東京にUターン。物語のまとめであるはずの最終週で次々に色んな問題が噴出。相手役と結婚したのか?開発した扇風機は売れたのか?どちらも謎のまま。

 

これだけ定番を外せば従来の朝ドラ視聴者からの反発は必至。しかし意外にも世間にはこれを受け入れた層もたくさんいたようで視聴率は高値安定。自分もその中に入るのだけど、やっぱり朝ドラでこんな内容許せない!という層もいて、感想ツイートを見ると「同じタイトルのドラマが2つ放送されていたのか?」と思うほど肯定派否定派のギャップが激しかった。

 

最も評価の分かれたポイントがヒロインである鈴愛の性格。と言うかこのドラマは鈴愛のキャラクターを受け入れられるかどうかに全てがかかっていると言っても過言ではない。自分も確かに鈴愛が秋風先生の原稿を人質に取ったり秋風先生の土下座を写ルンですしたりしたシーンでは「す、すずめちゃん...?」となったのだけど、あれはブラックな上司に対して泣き寝入りせずに立ち向かっているのだという考察を見て、このドラマの見方がわかった。確かにあの行動に出なかったら鈴愛は漫画家になれなかった可能性が高い。

半分、青い。」プロデューサーの勝田夏子氏はこう語る。

『半分、青い。』はトレンディドラマ? プロデューサーが語る北川悦吏子脚本“昭和平成史”への期待 | ORICON NEWS「朝ドラのヒロインには奥ゆかしさが求められますが、鈴愛はまったく奥ゆかしくありません。でも、思っていることをハッキリ言ったり、これだと思ったことに邁進するバイタリティは、とかく縮こまりがちな今の日本人に必要ではないかと思うんです。躾の悪い子とか、わがままな子と言う方もいらっしゃいますが、もう少し皆わがままになってもいいんじゃないですかという思いも含めて、描いている面があります」

思えば「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」も鈴愛と同様障がいを持つ女性がヒロインだったけど、2人共かなり勝気で、恋人である主人公としょっちゅう喧嘩していた印象があるので、北川作品の共通観念なのかもしれない。そして鈴愛に怒り狂う人達を見ていて逆になぜ自分はこのヒロインを受け入れられるのだろうと考えた結果、自分が他人に怒れるほど大層な人間じゃないからだとわかった。

 

そもそも鈴愛と自分は世代こそ違えど共通点は多い。子供の頃から絵を描くのが好きで高校では美術部。子離れ出来ない母と漫画好きで飄々とした父を持つ。一時期は漫画家の夢があったが現在は全く絵を描いていない。割と色んな職種に就いている。自己評価が低い、など。鈴愛のように思ったことを口に出すタイプではないけど、だからこそ鈴愛を羨ましいと感じることも多かった。たぶん自分はこのドラマがターゲットに想定した層に入っている。だから観ていて居心地が良いし楽しめている。

 

そしてこのドラマは鈴愛以外にもダメな人達がたくさん出て来る。幼馴染みに未練があるのに結婚して妻に「ずっと寂しかった」と言わせる男、犬を飼うかの如く女の子が増えちゃう男、夢のために妻子を捨てる男、弟子の出世チャンスを奪った上に自殺失敗して泣く映画監督、仕事を抜け出して失楽園に勤しむ百均店長、会社倒産して夜逃げする男...って男ばっかじゃねえか!思えば女性キャラでダメ人間なのって鈴愛と3オバくらいじゃないか?だから上手くやってけたのか(書いてて気付いた)。まあとにかく色んなタイプのダメ人間が集まっているのだけど、こういった人達に「非常識だ!」と思うか「わからんでもない」と思うかでこのドラマへの評価も変わってくるのかなと。

 

ダメ人間に限らずこのドラマはマイノリティーに寄り添う物語である。鈴愛は幼少期に左耳を失聴するが、それを乗り越えて健気に頑張る感動物語にはせず、「この世は両耳聞こえる人用にできとる。私のためにはできとらん。仕方ない。聞こえんでも聞こえとるふりして生きる。臨機応変や」と諦めとも達観とも取れる台詞を言わせる。ゲイのボクテは言葉の端々から外部から差別を受けていることが感じ取れるが、本編では仲間と楽しくやっている。そこに届く母からの「ゲイとやらも漫画とやらもやめて帰って来なさい」という手紙。この一文だけでボクテの苦悩や90年代当時のLGBTに対する世間の認識がわかる。教師から酷い言葉を吐かれ苦痛で学校から電話して来た息子に津曲は「そのまま帰りなさい」と言う。学校でいじめられ登校拒否になった娘に鈴愛は転校を促し「あなたは逃げるのではない。正しい場所に行くんです。そしてする必要のない戦いだ。だから場所を変える」と言う。これらのエピソードはどれも別のメインの話が進行している時にさりげなく挿入される。こうした描き方を「軽んじている」と感じる人もいるだろうけど、自分はこういう描き方だからこそ誰にでも起こり得る、日常に潜んでいる物として説得力が出ると思う。

 

北川さん自身が何度も大病をしてきて今も闘病中であるからこそ人の弱さに寄り添えるし、それを作品に落とし込める。半分の人達には理解されないかもしれないけど、もう半分の人達には届くはず。ドラマタイトルにはそういう意味も込められている気がする。

 

ドラマの根底にあるテーマはこんな感じかな。一見アグレッシブだけど実は優しさに溢れたドラマだった。平成の最後にこういうドラマが観れて良かった。

あの台詞が良かった!この人の演技が良かった!とか他にも言いたいことはたくさんあるので、最後に登場人物の皆さんに向けてメッセージを送ります。

 

 

鈴愛ちゃん(永野芽郁 様)

漫画の仕事がどん詰まりになって律くんが結婚して「私には何も無い!」と叫ぶシーンはこのドラマで一番泣きました。あと「わたしのかんがえたさいきょうのごうもんきぐ」の説明をこばやんにする時のオタク喋りも好きでした。

 

律くん(佐藤健 様)

いや何年かかってんねん!神様のメモかよ!そういうとこだぞ!お幸せに!

 

晴さん(松雪泰子 様)

鈴愛が破門されて帰って来てまた戻る時の「宝くじに当たったみたいやった」という台詞が好きでした。晴さんは歴代の朝ドラのお母さんで一番リアルだったと思います。

 

うーちゃん(滝藤賢一 様)

カンちゃんに一瞬に咲けを音読してあげるシーンが好きでした。イケボでしたね!

 

仙吉さん(中村雅俊 様)

戦争の話題からの真夏の果実は斬新過ぎてびっくりしました。草太結婚騒動の時の狼狽ぶりも可愛かったです!

 

弥一さん(谷原章介 様)

鈴愛ちゃんが初めて描いた漫画を見せに来た時の「これ最初に読むのは律なんやないの?」ともっともらしく言うシーンが好きでした!

 

和子さん(原田知世 様)

金八先生のモノマネお上手でした!岐阜犬を通して律くんと会話するシーンは名シーンですね...。

 

菜生ちゃん(奈緒 様)

現存する女子で一番ポニーテールが似合うと思います!鈴愛ちゃんの結婚お祝いコメント素敵でした!

 

ブッチャー(矢本悠馬 様)

夏虫駅の回は何気に菜生ちゃんと車内待機するブッチャーが好助演でした!個人的にあのブッチャーが一番イケメンです!

 

秋風先生(豊川悦司 様)

存在が最高でした!こんなに役と中の人の境目がわからないキャラクターはいないです!

 

菱本ちゃん(井川遥 様)

うーちゃんに電話で捲し立てるシーンではふえぇ...となりましたがめちゃ良い人でしたね!ピンクハウスお似合いでした!

 

ボクテ(志尊淳 様)

鈴愛ちゃんの神様のメモをパクって破門される一連の流れとても好きでした!彼氏とお幸せに!

 

ユーコ(清野菜名 様)

本当に自分の身内が亡くなったような気持ちになりました。鈴愛ちゃんの友達になってくれてありがとう。ずっと秋風塾だよっ!

 

マアくん(中村倫也 様)

子猫を肩に乗せて登場する人間を実写で見るとは思いませんでした。ウェイター姿が眼福でしたね!

 

涼ちゃん(間宮祥太朗 様)

6つぐらい人格あるのかな?ってぐらい情緒がおかしかったけどカンちゃんといると良きパパ感出るから子供パワー最強ですね!

 

元住吉監督(斎藤工 様)

佐野弓子先生と2人のシーンヤバかったですね...。涼ちゃんと2人して養いたい感凄かったです!

 

光江さん麦さんめありさん(キムラ緑子 様・麻生祐未 様・須藤理彩 様)

もっと見ていたいと思った頃に退場しちゃって残念。涼ちゃんが出て行った後の刑事コント無駄に演技上手くて最高でした!

 

カンちゃん(山崎莉里那 様)

可愛過ぎか!にゃんこスターのモノマネ上手だったよ!

 

津曲さん(有田哲平 様)

修次郎への電話対応神でしたね!扇風機のアイデア盗もうとしたのはアカンけどな!ホセ・メンドーサの顔真似お上手でした!

 

恵子さん(小西真奈美 様)

「兄」の発音が「アニー」なのが良かったです!その髪地毛なんですか?

 

 

 



 

 

2018年春ドラマ ザッと感想

4月スタートドラマの1話または2話までの現時点での印象。正直今期は久々に朝ドラにハマれているのであまりドラマ充を必要としてないのだけど、それにしてもスーツを着た大人のドラマばかりで食傷気味。

 

コンフィデンスマンJP ★★★☆☆

「リーガルハイ」「デート」の古沢良太久々の連ドラ。スケールがでかくて景気が良い。でも個人的にはクドカンの「監獄のお姫さま」同様イマイチ乗り切れずに終わりそう。

 

シグナル  ★★★★☆

今期の事件解決モノの中では唯一積極的に観たいと思えるドラマ。コミカルさは皆無(木村祐一がそのパートを一手に担っている)でWOWOWかな?と思うレベル。長谷川京子サイコパスぶりが予想外に良かった。

 

正義のセ ★★★☆☆

恐ろしく癖が無い。「過保護のカホコ」「奥様は取り扱い注意」「anone」と変わり種が続いた反動だろうか。その代わり目新しさも無いが。

 

あなたには帰る家がある ★★★☆☆

不倫ドラマと見せかけて天海祐希の「Around40」のような世の女性の気持ち代弁ドラマ。「奪い愛、冬」「ホリデイラブ」のようなネタドラマ化はしなさそう。ユースケのモラハラ夫と木村多江の不倫妻はハマり過ぎて笑う。

 

ヘッドハンター ★★★★☆

テレ東が新設した「ドラマBiz」枠の第一弾。1話、2話のゲストが北村有起哉高橋克実緋田康人高嶋政伸正名僕蔵という絶妙さ。漫画「ブラック・ジャック」のヘッドハンティング版のような味わい。

 

花のち晴れ★★★☆☆

花より男子の続編。満を持しての中川大志だけど、他の生徒役のキャストが伸びしろを期待してなのかだいぶフレッシュなメンツ。杉咲花木南晴夏の安定感が際立つ。滝藤さんは朝ドラの優しいお父さん役との高低差が凄い。話自体は面白いので花男に思い入れが無い自分は普通に楽しむ方向。

 

未解決の女 ★★★☆☆

脚本が「あさが来た」の大森美香なせいか、波瑠のキャラクターがあさの現代バージョンのような直情型ヒロイン。しかし最早彼女にそういった役柄は求められてない気も。

 

モンテ・クリスト伯 ★★★☆☆

日本では「巌窟王」として有名な海外小説の現代版リメイク。ラストの田中泯登場で一気にドラマの空気が変わった。「刑事ゆがみ」「隣の家族は青く見える」というここ半年の個人的お気に入りトップ2を生み出した枠なので面白くなって欲しい。

 

やけに弁の立つ弁護士が学校で吠える ★★★☆☆

「学校の先生ってマジでブラック職だな...」という気持ちが強くなった。

 

おっさんずラブ ★★★★☆

お堅い作品群の中に燦然と輝くおバカドラマ。2016年の特番の時と比べてノンケ役の田中圭のキャラがマイルドになり見易くなった。

 

ブラックペアン ★★★★☆

半沢チームの新作は池井戸潤原作ではなく「チームバチスタ」シリーズの海堂尊による医療モノ。幸いにも同ジャンルのドラマが無いお陰で寧ろ新鮮な気持ちで観れた。竹内涼真は相変わらず美味しいポジション。

 

 

 

 

朝ドラ「半分、青い。」に期待する

現在放送中の朝ドラ「半分、青い。」が2週目を終えた。

 

正直ここ数年は朝ドラ視聴から遠ざかっていたのだが、今回観ようと思ったのは主演の永野芽郁を含めキャストが好みだったこと、近年乱発気味の女性創業者モノではなく昭和後期〜平成が舞台のオリジナルストーリーである点が大きい。

 

今回脚本を務める北川悦吏子氏と言えば90年代〜00年代初頭のフジテレビやTBSの恋愛ドラマを数々手掛けたことで有名。しかしそんな彼女の作風が2018年のNHK朝ドラに果たしてマッチするのか?というのは多くの人が抱えた疑問だと思う。

 

同じように民放ドラマのイメージが強い中で朝ドラに起用された脚本家というのは過去にもいて、その異色さがプラスに働きそれまで朝ドラを観なかった層も巻き込んでのブームを作ったのが宮藤官九郎(あまちゃん)、逆に朝ドラをぶっ壊そうとして本当の意味でぶっ壊したのが遊川和彦(純と愛)だと思う。

 

そして「半分、青い。」を初回から今まで視聴した上で言えるのは、朝ドラに於ける新たな名作の誕生になるかもしれないということ。

 

たいていの朝ドラは主人公の幼少時代から始まるが、「半分、青い。」は史上初の胎児スタート。しかもへその緒が首に巻きついている。更にここから子供のまま近年では異例の週またぎ。子供時代に時間を割いたのは主人公が片耳を失聴した過程をじっくり描くためだろう。最初こそ隙あらば挟み込まれる昭和ネタの数々に「これはこの時代に無かった」「これはこう呼ばれてたはず」とストーリーそっちのけでネットで議論が巻き起こっていたが、回を重ねるごとに北川氏本来の人間描写のリアルさと繊細な言葉選びが生きてきて、「子供時代をもっと見ていたい」という声が上がるほど。

 

このドラマの魅力は「朝ドラっぽくなさ」にある。これまでの「朝ドラっぽくない朝ドラ」の代表格と言えば前述した「あまちゃん」だが、近年の朝ドラは「あまちゃんよもう一度」という雰囲気が出過ぎている気がして、それが自分を朝ドラ視聴から遠ざける要因ともなったのだが(特に東京制作。大阪制作は「あさが来たよもう一度」の空気を感じる)、「半分、青い。」で漸く全く別の風が吹き込まれた感じがする。そういうわけで久々に完走出来そうな朝ドラなので、どうかこのまま今のクオリティを維持して突っ走って欲しい。

 

連続テレビ小説 半分、青い。 Part1 (NHKドラマ・ガイド)

連続テレビ小説 半分、青い。 Part1 (NHKドラマ・ガイド)

 

 



 

2017年ドラマ 年間マイベスト

今年全話視聴したドラマで印象に残った10作品を「毎週楽しみに観たか」「ドラマとしてのクオリティ」「インパクト」の3点を重視してランク付け。

 

第10位 重要参考人探偵

 f:id:starfes:20171213202830j:plain

制作局: テレビ朝日

原作: 絹田村子重要参考人探偵

脚本: 黒岩勉

キャスト: 玉森裕太小山慶一郎古川雄輝新木優子滝藤賢一

 金曜ナイトドラマらしいチープな事件解決物だが、主人公の「何故か毎回死体を発見してしまう体質」という設定だったり、推理を披露する際に「頼む、合っててくれ」と願う様子だったり、この手のドラマを皮肉った部分が痛快だった。推理する時の「時間稼ぎタイム」は毎回爆笑。一番良かったのはメイン3人のバランスで、玉森裕太の不運ぶり、小山慶一郎の一見頭脳派に見えてピントズレてるぶり、古川雄輝の問答無用のフェアリーぶりがそれぞれニンに合っていた。あと滝藤賢一のオネエ社長も楽しみの一つだった。

 

第9位 コウノドリ

f:id:starfes:20171208034424p:plain 
制作局: TBS
脚本: 坪田 文、矢島弘一、吉田康弘
キャスト: 綾野剛松岡茉優、吉田羊、星野源、坂口健太郎、大森南朋
医療モノで一括りにしてしまうのは失礼なくらい、今シリーズも産婦人科、出産に対する真摯な姿勢が見て取れた。視聴率の獲りづらい同枠に於いて安定して2桁をキープしていたのは素晴らしい。同じく病院を舞台にしたドクターXとは対局にある作品。女性向けに見えるが、男性にこそ見てほしい。
 

第8位 リバース

f:id:starfes:20171124145054j:plain

制作局: TBS

原作: 湊かなえ「リバース」

脚本: 奥寺佐渡子、清水友佳子

キャスト: 藤原竜也戸田恵梨香小池徹平市原隼人玉森裕太三浦貴大門脇麦片平なぎさ武田鉄矢

TBS金曜ドラマ枠としてはすっかりお馴染みになった湊かなえ原作ドラマシリーズ。親友の事故死の真相を探るというシリアスなテーマながら、藤原竜也の非リア充演技が毎回爆笑を誘った。その他のキャストも皆適材適所で、単純に演技が上手い。途中からはちょっと間延び感もあったが、ハードな雪山シーンや人物描写のリアリティなど、見応え十分な作品だった。そして毎回クライマックスで流れるシェネルの「Destiny」は本当によく合っていた。今年のベストドラマソング賞をあげたい。

 

第7位 僕たちがやりました

f:id:starfes:20171124144750j:plain

制作局: 関西テレビ/共同テレビ

原作: 金城宗幸僕たちがやりました

脚本: 徳永友一

キャスト: 窪田正孝永野芽郁新田真剣佑間宮祥太朗葉山奨之今野浩喜川栄李奈水川あさみ、三浦翔平、板尾創路古田新太

色んな意味でインパクトが強かった作品。かなり出落ち的な導入だったため、初回がピークになるのでは?と懸念していたが、個性的なキャラクターと先の読めない展開により最後まで飽きずに楽しめた。「え?これ9時台だよね?」と確認したくなるようなエロや暴力シーンの数々を擁するが、これを敢えて深夜枠ではなくゴールデンタイムで放送した意義はあったと思う。決して後味の良くない結末含め、現在のドラマ界に一石を投じる作品となったと思う。今野はドラマに出始めて久しいが、今作で本格的に俳優になったと感じる。しかしトビオと菜摘先生(の中の人)が付き合うとは思わなかったよね。


第6位 明日の約束

f:id:starfes:20171220030126j:plain

制作局: 関西テレビ/共同テレビ
脚本: 古田和尚
キャスト: 井上真央及川光博仲間由紀恵工藤阿須加手塚理美

昨年最も飛躍したのがTBS火曜ドラマ枠だとすれば、今年最も注目度を上げたのはこの関テレ枠では無いかと思う。一見地味な作品だが、いじめ問題だけではなく毒親やマスコミの報道姿勢にも鋭く斬り込んだ意欲作。久々のドラマ主演となった井上真央の演技力を再認識出来たし、生徒役の俳優も皆好演。主人公の母親を演じた手塚理美も強烈な存在感だった。 終始落ち着いたトーンで、軸のブレなさも好印象。

 

第5位 わにとかげぎす

f:id:starfes:20171124145528j:plain

制作局: TBS

原作: 古谷実わにとかげぎす

脚本: 高橋泉

キャスト: 有田哲平、本田翼、賀来賢人吉村界人光石研コムアイ村上淳

脚本、演出共に高水準だったが、キャスティングに言及すると、あまり役者のイメージが無い有田の演技も自然だったし、コムアイ(水曜日のカンパネラ)の頭おかしい女もハマり役。中でも本田翼の使い方は各ドラマスタッフ参考にすべき。正直エロに関しては「僕たちがやりました」に軍配が上がるが、バイオレンス描写はなかなかテレビではお目にかかれない血生臭さで鮮烈だった。しかし今年は「バイプレイヤーズ」といい「下北沢ダイハード」といいこれといい、様子のおかしい光石研をよく見た年だった。

 

第4位 過保護のカホコ 

 f:id:starfes:20171208034513j:plain

制作局: 日本テレビ

脚本: 遊川和彦

キャスト: 高畑充希黒木瞳時任三郎竹内涼真

遊川和彦お得意の家族モノかと思いきや、竹内涼真の存在感により秀逸なラブコメ作品に。ただの爽やかイケメンではなく、遊川フィルターを通したことによって皮肉屋で少々毒のあるキャラクターに仕上がっていたのが丁度良かった。自分も例に漏れず麦野くんにはキュンキュンさせられっぱなしで、たまたま近くで上映されていた「帝一の國」を観に行くところまでいった。竹内涼真の魅力を引き出すという意味では、相手役が高畑充希という点も含め、この作品で大正解を出してしまった感があり、この先これを超える作品が出てくるかちょっと心配でもある。

 

第3位 あなたのことはそれほどf:id:starfes:20171124145257j:plain

制作局: TBS

原作: いくえみ綾あなたのことはそれほど

脚本: 吉澤智子

キャスト: 波瑠、東出昌大仲里依紗鈴木伸之大政絢、山崎育三郎、中川翔子麻生祐未

初回視聴時点からの上げ幅という意味では今年一番。正直序盤は安っぽい不倫ドラマになってしまうのかと危惧したが、不倫がバレてからは毎週迷シーンの連続で、Twitter実況との相性も抜群。同時期に同じ不倫ドラマの「昼顔」が再放送されていたが、昼顔のように濃厚なラブシーンやドラマティックな劇伴で盛り上げる訳でなく、淡々と主人公が堕ちていく様を描いていくのが不気味で良かった。登場人物が皆違ったタイプの狂い方をしていて、後半になってくると一番クズなはずの有島(鈴木伸之)が一番まともに見えてくるというねじれ現象が発生。この役を引き受けた波瑠と東出昌大に敬礼。

 

第2位 刑事ゆがみ

f:id:starfes:20171208034355j:plain

制作局: フジテレビ

原作: 井浦秀夫「刑事ゆがみ」

脚本: 倉光泰子大北はるか、藤井清美

キャスト: 浅野忠信神木隆之介稲森いずみ山本美月

浅野忠信神木隆之介バディ物となれば「絶対に面白くなるはず」と思うのが普通だが、放送枠がここ数年ヒット作の無いフジテレビ木曜ドラマ枠とあっては、期待したくても「どうせしょっぱい出来になるんだろうな...」と思っていた時期が私にもありました。蓋を開けてみれば、今までのこの枠の低調ぶりは何だったんだ?と思うほどの非の打ち所のない名作に仕上がっていて、嬉しい誤算。ゲストが毎回豪華だったのも、視聴率狙いというよりは浅野忠信のもとに良い役者が自然に集まってきたという感覚があった(斎藤工リリー・フランキーの無駄遣いには笑った)。シリーズ化するべきだと思うが、やはり視聴率の壁が。しかしフジテレビの復活を予感させる作品だったことをここに記したい。

 

第1位 カルテット

 f:id:starfes:20171208034548j:plain

制作局: TBS

脚本: 坂元裕二

キャスト: 松たか子満島ひかり松田龍平高橋一生吉岡里帆もたいまさこ

脚本家とキャストが発表された時点でヤバいとは思ったが、その通りヤバかった作品(語彙力)。坂元裕二による言葉の力が圧倒的過ぎて、圧倒的素人の自分はとにかく毎回「すげえ...」と言うほか無かった。特に凄かったのは第5話での松たか子満島ひかり吉岡里帆による三つ巴の会話劇。ドラマ史に残る名シーンに数えても良いのではと思えるくらいの緊迫感があった。とにかく視聴者を「ながら見」させない作品。坂元裕二がいる限り、テレビドラマはまだまだ死なないと確信した。

 

 

例年通り漫画の実写化が多かったが、同時にオリジナル脚本の大事さも痛感した(ランキングの中だと「カルテット」「過保護のカホコ」「明日の約束」がオリジナル脚本)。そして「刑事ゆがみ」によりフジテレビ復活の兆しが少しでも見えたのは昨年からの大きな進歩。来年1月期のドラマも既に面白そうなのが大量に出揃っており、今から楽しみ。

M-1グランプリ2017

ゆにばーす

女性だけど浅野忠信似のはらと戦略家の川瀬名人によるコンビ。トップバッターとは思えないウケ量。審査員の松本人志が「彼らの実力が凄いのか、お客さんが暖かいのか」と訝しむのも無理はない。はらが「翼の折れたエンジェル」を熱唱するシーンは今大会一番笑った。

 

カミナリ

今大会唯一の非・よしもとコンビ。この現象はブラマヨが優勝した2005年大会のタイムマシーン3号以来と記憶している。相方の頭を容赦なくぶっ叩く漫才スタイルで昨年一躍脚光を浴びたが、上沼恵美子が指摘した通り、最早頭を叩くツッコミが必要なくなりつつある。

 

とろサーモン
割と優等生的な漫才が多い中で、久保田の全く万人受けする気の無いふてぶてしさが光る形に。最終決戦が終わった時点では「ミキか和牛のどっちかだろうな」と思っていたので、ここが優勝したのは意外だった。とはいえ、めちゃイケの「笑わず嫌い王」で初めて見て衝撃を受けた身としては感慨深い。あと久保田の服がミッキーマウスみたいだなと思ったら本当にそうで笑った。

 

スーパーマラドーナ

敗者復活枠。準決勝のレポで「ここが決勝行かないのはおかしいから敗者復活枠だろう」という意見をよく見かけたが結果その通りに。冒頭の「オネエがいたんですよ」が後半どう効いてくるのかと期待していたら、寧ろ途中に出てきたカニの伏線回収の方が見事で、オネエのくだりが蛇足に思えた。

 

かまいたち
キングオブコントチャンピオン。キングオブコントの勝因は山内の狂気的なキャラクターと秀逸なツッコミフレーズにあったと思うので、そのどちらもそこそこの範囲に収まった今回のネタはちょっと物足りなく感じた。しかし終わってみればコントチャンピオンが一番しゃべくり漫才をしていたというのが興味深い。

 

マヂカルラブリー

面白いと言われながら賞レースの決勝には今まで全く縁の無かったコンビ。ハネてほしいという希望はありつつも、同じく長らく準決勝で落とされ続けたGAG少年楽団が今年キングオブコントで最下位になったのもあり、一抹の不安もあった。そしてその予感は的中してしまった訳だけど、GAGは詰め込み過ぎな印象だったのに対し、マヂラブは逆に詰め込まな過ぎだと感じた。上沼恵美子による酷評は立川談志以来のヒリヒリ感があったが、録画を見返すと寧ろ愛あるダメ出しだと感じた。

 

さや香

今回のダークホース。自分はたまたま「新しい波24」で見て面白いと思っていたが、こんなに早く決勝に上がってくるとは思わなかった。ボケの新山の、ジャルジャル後藤に似たプレーンフェイスからは想像もつかないハイテンションボケは華がある。「みんなが知ってる童謡を知らない」という設定から「しょーもな!」と歌の内容に対するクレームをつける展開になるのかと思ったが、実際はその内容に感銘を受けてノリノリになるという誰も傷つけないネタ。準決勝の時点で「チュートリアルに似てる」という評価を見かけたが、わからんでもない。チュートリアルから変態性を引いて変顔とアクションを足した感じ。いやそうなるともう別物だろ。

 

ミキ

兄弟コンビならではの遠慮の無い掛け合いがめちゃくちゃ安心する。人気があるのは弟だが、このコンビの漫才はお兄ちゃんの技術あってこそ。最終決戦で一票も入らなかったのはボケがベタ過ぎたからか?w

 

和牛

2年連続準優勝。昨年大会で川西のツッコミが注目されたからか、漫才における川西の占める割合が多くなったように感じた。これまでは「どこにでもいそうな女の子」を演じることが多かった川西だが、2本目では毒の強い女将を熱演。しかしそれにより水田のNOデリカシーキャラとのバッティングで笑いよりエグみが若干上回ってしまった感じもする。来年こそは優勝して欲しいが、このまま麒麟と同じ道を歩みそうな気もしてちょっと心配。

 

ジャルジャル

キングオブコント2010で披露した「くしゃみとあくびとゲップ」の難易度・鬼バージョンのような感じか。漫才とかコントとかじゃなく、最早ジャルジャルというジャンルのネタ。でもこれを漫才という枠組みの中で評価するとなるとやはり評価が難しい。割と生意気なイメージが先行しがちな彼らだが、今大会で応援したくなった視聴者は多いはず。だから福徳泣かないで。

 

 

ご指名・ご購入ありがとうございま~す!~感謝してます編~ [DVD]

ご指名・ご購入ありがとうございま~す!~感謝してます編~ [DVD]

 

 

 

ジャルジャルの戯(あじゃら) 1 [DVD]

ジャルジャルの戯(あじゃら) 1 [DVD]

 

 

 

 

映画鑑賞記録「全員死刑」(ネタバレあり)

f:id:starfes:20171122223010j:plain

主演・間宮祥太朗、監督・小林勇貴による「全員死刑」を観てきた。これまで本物の不良を使って映画を撮ってきた小林監督が初めて俳優を使って撮った映画で、間宮祥太朗にとっても初主演映画となる。この映画をわざわざ2時間かけて隣の県まで朝イチで観に行ったのは、自分が間宮祥太朗ファンであることが大きな要因ではあるが、映画評論家の町山智浩氏が第2回町山大賞に選んでいた(第1回は「この世界の片隅に」)ということもあり、主演が誰であれ観ていた作品だと思う。

話のモデルは2004年の福岡県大牟田市での殺人事件。「冷たい熱帯魚」「凶悪」と同じプロデューサー。そして全員死刑という物騒なタイトルやポスタービジュアルから、どんな恐ろしい映画なんだと想像してしまうが、R15指定ということもあり殺人描写や性描写は驚くほどマイルド。同じ日活製作でR15指定、間宮も出演していた「ライチ☆光クラブ」の方がその点では過激だったように思う。

ではこの映画の何が鮮烈なのかと言えば、小林監督による演出に他ならない。複数の映画のオマージュがふんだんに盛り込まれているらしいが、自分の貧困なムービーリテラシーでは解説不能なため、その辺は他の方にお任せする。この映画で一番印象に残るのが忙しなく転換するBGMではないかと思う。クラシックからアゲアゲ曲、メタルコアまで多岐に渡るジャンルの音楽が作品を彩る。しかしあまりにも節操のない選曲のため、決して心地いい物ではなく、寧ろこれが原因でこの作品に嫌悪感を抱く観客もいておかしくない。自分も正直途中から「ちょっと過剰では?」と思いこの作品に対する評価を考えるところまで行ったが、ここまで押せ押せで来られると「逆にこれはこれでアリだな」と最終的には思わされてしまった。BGM以外にもカメラワーク、B級アメリカホラーのようなチープ感、状況説明の字幕など、「敢えて」やってますよ感が満載で、それが鼻につくという人もいると思う。自分も正直(略)

と、このように監督のやりたい放題な演出になっているのだが、肝心の話はと言えば、これが恐ろしく緊張感の無い、間の抜けた殺人記録なのだ。あらすじとしては父、母、長男、次男の4人が財産強奪のため資産家一家を襲うという物なのだが、毎回殺すのは次男のタカノリ(間宮)の役目。全部タカノリに丸投げの親や長男もクズだが、全て言う通りにするタカノリもやはりおかしい。つまり犯人を全くかっこ良く描いていないのだ。これもBGMの効果によるところが大きいと思うが、個人的には殺人シーンの時だけ取ってつけたようにかかる不穏なBGMがわざとらしくてツボだった。

そんな中で3人目、4人目を銃殺した後、それまで業務的に殺しを行なっていたタカノリに異変が起きる。兄に対して銃口を向けるのである。本人に殺す意思は無かったと思うが、あまりにも人を殺し過ぎたため、何かのスイッチが入り、自分を散々こき使ってきた兄への蓄積された思いがこの行動に移させたのだろう。ここは観ててスカッとしたし、個人的に一番好きなシーンだった。と同時に「殺人を犯すとこういうことも起きるんだろうなぁ」と想像できてしまった自分にゾッとした。

役者で言うと、主演の間宮祥太朗は最初正直この作品の登場人物としては顔が良すぎじゃないか?という懸念を抱いていた。そりゃあヤクザにもハンサムな人はいるだろうが、間宮はいくら何でも華があり過ぎる。しかし殺人を重ねる内に、くっきりだった二重がどんどん一重になり最終的にマジでこんな顔↓

f:id:starfes:20171122223055j:plain

になっていたのはお見事だった。あとたまに垣間見せていたシャブ中の呂律の回らない演技がとても上手かったので、機会があればまたそういう役をやってもらいたい。

間宮に次いで出番が多かったのが長男役の毎熊克哉。一見するとタカノリよりよっぽど強面なのに、実際は口だけで何もしないという小者っぷりがギャップがあって良かった。一番最初の被害者であるユーチューバー・おわりたいちょーを演じた藤原季節も良い感じにムカつく演技をしている。予告で大々的に使われてるだけあって、彼のシーン(カレープール&全部チャラにしちゃえ〜♡)は画ヂカラがあった。六平直政と入絵加奈子による両親は頼りなさ過ぎて寧ろ最高。

町山氏が「地獄のサザエさん」と評するように、やってることは殺人なのに妙にほのぼの感が漂う怪作。実際の事件を題材にしてる云々よりも、映画として賛否が分かれる作品のように思う。自分はといえば、もう既に最初から観直したくてしょうがないので、すっかりこの作品の虜になっている。日本的な陰湿さは無く、アメリカ的なおバカでカラッとした感触なので後味は不思議と悪くない。意外と間口の広い作品となっているので、観られる環境の方はどうぞ劇場へ。